落語『寿限無』で「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ・・・」というセリフがありますね。
この五劫ごこうれ」とは一体何を表すのでしょうか。

五劫とは時間のこと

この五劫とは時間の長さのことを表しています。

「劫」とは、時間の単位で、非常に長い時間をいいます。
つまり、5時間というのと同じように、5劫という時間を表しているのです。

それでは、どのくらいの時間を表すのでしょうか。
それは、昔から、このような例えばあります。

五劫の時間を表す例え

■ 約2000k㎡四方の岩場を、100年に一度、(落語では天女が)布でひと撫でして、その岩場が摩滅するまでの時間よりも長い時間(磐石劫 ばんじゃくこう)

■ 約2000k㎡四方のお城に、ケシのつぶが詰まっており、100年に一つぶ取り出して、お城の中のケシのつぶが完全になくなる時間よりも長い時間(芥子劫 けしこう)

このように、一劫とは、とてつもなく長い時間であることが分かります。

仏教でどの様に出てくるのか?

浄土真宗でお勤めの時によく読むもので、「正信偈しょうしんげ」というものがあります。
この「正信偈に」

五劫これを思惟して摂受す。

(五劫という時間、法蔵菩薩ほうぞうぼさつ(後の阿弥陀様)は考え抜かれ、四八の誓いを選び取られたこと)

を意味しています。

法蔵菩薩ほうぞうぼさつ時代のお話は、別の機会にするとして、今回は、この「劫」という言葉について書いてみたいと思います。

「劫」とは、先ほど申し上げましたように、とてつもなく長い時間であることが分かります。

つまり、法蔵菩薩は、五劫(一劫の五倍!)の長きに渡って、私達を すくう ことを考えて下さっていました。決して見捨てずに。

阿弥陀様のご苦労をおもい、「南無阿弥陀仏」と手を合せたいところですね。

ちなみに、日常語の「億劫(おっくう)」は、億の劫ですから、元々は、ほとんど永遠をあらわします。
そこから転じて、わずらわしく気が進まないことをあらわすようになりました。その他、囲碁の「劫」などにも出て来る言葉です。