この時期になると各地で開催される夏のお祭りが「盆踊り」ですが、
この行事は、『盂蘭盆経』(うらぼんえきょう)という経典に書かれているものです。

 お釈迦様の弟子の一人に「目連」(もくれん)という神通力(超能力のような力)に秀でた人物がいました。『阿弥陀経』では「目犍連」(もっけんれん)という名で冒頭に登場します。

 ある日、目連が、その超能力を使って、先に亡くなった母が天上界(生まれ変われる六つの場所のうち、最上の世界)に生まれ変わっているかを確認したところ、なんと天上界ではなく、餓鬼道に墜ちて苦しんでいました。
 
 この餓鬼道とは、飢えと乾きに苦しみ、食物は手に取ると火に変わってしまい、決して満たされない世界です。

 困り果てた目連がお釈迦様に相談すると、お釈迦様は、助けるための教え(施餓鬼の法との説があります)を目連に伝授し、目連がその教えを実行すると、母親は浮かび上がり、歓喜の舞を踊りながら昇天します。
 この踊りが、盆踊りの由来と言われています。

 この話は、神通力ではなく、お釈迦様の教えによって救済されていくことが示されているといえ、仏教の教えの有り難さが感じられる逸話の一つと言えるのではないかと思います。