親鸞聖人が尊敬された中国の僧侶に、曇鸞(どんらん)大師と言う人がいました。親鸞聖人の「鸞」の由来でもあります。

その曇鸞大師の著作『往生論註』に「蟪蛄(けいこ)は春秋を識(し)らず」という言葉があります。
蟪蛄(けいこ)は、セミですから、「セミは夏しか生きないので、春秋は知らない」という意味になります。
自分の体験したこと以外は理解する事は難しい、と教えてくれているとも捉えることが出来るでしょう。

私たちは、自分の目で見えるもの、体験したことは理解出来ますが、
そうでないものは受け入れることが難しいのが現実ではないでしょうか。
迷いの世界にいることも気づかずに、日々生きる私たちを見て、
阿弥陀如来は、「迷いの世界から必ず救う」と仰っています。
その呼び声こそが、「南無阿弥陀仏」なのです。