お墓参りの様子がここ数年で変化してきたように感じます。今までは、お正月を迎えるにあたり、多くの人が自分の家のお墓に行き、石塔をふき、墓地の草引きをして、花の水を換え、線香を立て、花を供えてお参りし、さらに、墓地にある迎い地蔵や六地蔵などを参り、1時間程度かけてお墓参りをしたものです。

 
ですが、最近は、自分の家のお墓に行き、花を供え線香を立てお参りをして帰る、という方が増えた印象です。これだと15分程度で済み、忙しい現代では仕方がないのかもしれません。

 
また、最近お墓の種類も増えてきています。例えば、室内にあるお墓です。
当寺院では本堂の2階に納骨堂があります。院内墓地という呼び方もあるようですが、こういった形式のお墓も見られるようになってきました。昔は平屋の一戸建てが多かったものが、マンション住まいが増えたのと同じように、お墓の在り方も時代によって変化しているのでしょう。

 
当寺院の納骨堂では、お参りに来られた場合、基本的には僧侶がお経を称え、お焼香をしていただいています。もちろんお布施は頂いてません。

 
浄土真宗において、お墓は感謝をする場です。阿弥陀様に見守られていることへの感謝。ご先祖様が菩薩となり、私たちを見守り、導いてくださっていることへの感謝をする場です。また、お墓というのは、自分のルーツでもあります。先祖からずっと受け継がれてきた自分自身の命を見つめ、生かされていることを実感できる場でもあると思うのです。

 
納骨堂にお参りに行くと、簡単に手を合わせるだけでサッと終わってしまいがちです。お経を読むのはごく短い時間になりますが、せめてその間は、感謝の気持ちや自分の命というものに、目を向ける時間となればと思っています。