亡くなれば天国に往くわけではない
では、誰かが亡くなると「天国」へいかれましたというようテレビなどで言われますが、
「天国」とはどのようなとこなのでしょうか。
仏教には「六道輪廻(ろくどうりんね)」という考え方があります。
「輪廻」という考え方は、死んだあと、
どのような世界に生まれ変わるかという考え方です。
よく世間で「前世」はどうだったかなどとよもやまばなしが、
四方山話で言われるのがこのような考え方からきています。
だから「輪廻転生(りんねてんしょう)」というのは、
生まれ変わり死に変わると言う考え方なのです。
六道輪廻:6つの世界とは
では、六道輪廻とはどういうことなのか言えば、
6つの世界に生まれ変わり死に変わるという考え方なのです。
6つの世界とはどういう世界かといえば、
下から言えば、
- 「地獄(じごく)」
- 「餓鬼(がき)」
- 「畜生(ちくしょう)」
- 「阿修羅(あしゅら)」
- 「人間界(にんげんかい)」
- 「天上界(てんじょうかい)」
の6つの世界のことです。
地獄とは地面の下の牢屋という意味になります。
餓鬼は、食べ物や飲み物に非常に困る世界のことなのです。
畜生は、食べることと子孫をつくるだけの世界のことです。
阿修羅は、戦いばかりをしていた者が堕ちる世界のことです。
人間界は私たちが今生活をしている世界、
そして天上界は、
ユダヤ教やイスラム教やキリスト教でいう「天国」と同じように考えてしまっている人が非常に多くいるようです。
ですが、ここでの天界とはそうではありません。
天国というのはユダヤ教やイスラム教やキリスト教の信者さんのいかれるところなのです。
仏教で言うお浄土のような存在です。
ですから、人が亡くなって仏教によるお葬式をするということは、
亡くなった方は仏教の信者さんということになります。
そういう方が天国に行くわけがありません。
お浄土に往かれるのです。
天界とは?
では、仏教で言う天上界とはどのような世界なのでしょう。
それは、快楽主義の世界であり、
長寿の世界であるといわれています。
昼夜は人間の世界で言えば400年であり、寿命は4000年ともいわれています。
しかし、いくら長く生きても最後は死亡するといわれているのです。
そして、天上界に生きた人ほど、
死ぬときはこの上もない不安にかられるというのです。
なぜなら、次に生まれ変わるとしても、
よくて今と同じ天上界、そうでなければ、今いた世界よりも下の世界に生まれ変わらなければならないからです。
結局のところ、これら6つの世界はすべて仏教では迷いの世界なのです。
それに対して、お浄土とは阿弥陀仏の世界であり、悟りの世界です。
つまり、迷いを抜けだした世界なのです。
この生死を越える道、迷いから抜け出し、悟りに至る道こそが、
親鸞聖人がお示し下さった教えなのです。
それが、「南無阿弥陀仏」というお念仏に現れるように、
阿弥陀様にすべてをお任するという「他力」の道なのです。
つまり、自分ではお浄土に至ることは出来ない。
だからこそ、そんな出来の悪い私(凡夫)だからこそ、阿弥陀様が放っておかない。
必ずすくってくださる。
自分が悟りに至るための行い(自力)を捨て、
阿弥陀様にすべてをお任せする(他力)こそが私達(凡夫)のすくわれる(お浄土に至る)道なのです。