天国、天界、お浄土。

さまざまな言い方ありますが、多くは、亡くなった人がく世界を表しています。
では、天国、天界、お浄土とは一体どこを指すのでしょうか。

仏教では、亡くなれば天国に往くわけではない

天国

誰かが亡くなると 「天国」へ旅立って行かれました と、よくテレビなどで言われますが、
「天国」とはどのような世界なのでしょうか。

おそらくですが、こういった文脈で使われる天国とは、
学術的な話ではなく、

人が死んだ後に行く世界のことを指しているのでしょう。

この場合の「天国」とは、仏教では「お浄土」と呼ばれています。

人は死んだあと、(浄土真宗の教えでは)お浄土にきます。

天界

それに対して天界とは、「天」「天上界」「天上」「天道」とも言われる、神々の住む世界のことです。天国やお浄土と同じ世界を指して言う方もおられますが、厳密には異なる世界です。

天界は、六道ろくどうの世界の一つなのです。

六道は、六道輪廻ろくどうりんねという言葉で聞いたことがあるかもしれません。
六道とは、死後、人が生前の行いにより赴く、6つの世界です。

六道輪廻:6つの世界とは

そもそも六道輪廻とは何かと言えば、
「6つの世界に生まれ変わり死に変わる」という考え方なのです。

6つの世界とはどういう世界かといえば、
下から言えば、

  • 「地獄(じごく)」
  • 「餓鬼(がき)」
  • 「畜生(ちくしょう)」
  • 「阿修羅(あしゅら)」
  • 「人間界(にんげんかい)」
  • 「天上界(てんじょうかい)」

の6つの世界のことです。

→ 六道輪廻の詳細

地獄とは地面の下の牢屋という意味になります。
餓鬼は、食べ物や飲み物に非常に困る世界のことなのです。
畜生は、人にたくわえ養われて生きる世界のことです。
阿修羅は、戦いばかりをしていた者が堕ちる世界のことです。
人間界は私たちが今生活をしている世界。
そして天上界は、神々の住む世界です。

それぞれの世界は、それぞれの苦しみを持った、
迷いの世界なのです。

そして、
その迷いを超えた世界がお浄土です。

一見、神々の世界である、天界は天国のような世界と思われるかもしれません、
ですが、この世界も、苦しみのある迷いの世界なのです。
天国とは別の世界なのです。

天国というのは、また別の宗教になるかと思います。
仏教では、お浄土という世界があります。

ですから、人が亡くなって仏教によるお葬式をするということは、
亡くなった方は仏教徒ということになります。
そういう方は、天国ではなく、言葉の表現としてはお浄土に往くとなります。

→ 人間死んだらどこへいくのか

天界とは?

では、仏教で言う天上界とはどのような世界なのでしょう。

それは、快楽主義の世界であり、
長寿の世界であるといわれています。

昼夜は人間の世界で言えば400年であり、寿命は4000年ともいわれています。
しかし、いくら長く生きても最後は死亡するといわれているのです。

そして、天上界に生きた人ほど、
死ぬときはこの上もない不安にかられるというのです。

なぜなら、次に生まれ変わるとしても、
よくて今と同じ天上界、そうでなければ、今いた世界よりも下の世界に生まれ変わらなければならないからです。

結局のところ、これら6つの世界はすべて仏教では迷いの世界なのです。
それに対して、お浄土とは阿弥陀仏の世界であり、悟りの世界です。
つまり、迷いから抜けだした世界なのです。

この生死を越える道、迷いから抜け出し、悟りに至る道こそが、
親鸞聖人がお示し下さった教えなのです。

それが、「南無阿弥陀仏」というお念仏に現れるように、
阿弥陀様にすべてをお任するという「他力」の道なのです。

つまり、自分ではお浄土に至ることは出来ない。
だからこそ、そんな出来の悪い私(凡夫)だからこそ、阿弥陀様が放っておかない。
必ず すくって くださる。

自分が悟りに至るための行い(自力)を捨て、
阿弥陀様にすべてをお任せする(他力)こそが私達(凡夫)のすくわれる(お浄土に至る)道なのです。